国民年金基金が解散したらどうなる?リスクについて徹底解説!

国民年金基金は、個人事業主などの国民年金の第1号被保険者の方が、将来の年金に上乗せすることができる年金制度。

元本割れのリスクが無かったり、掛金が全額所得控除の対象になったりと、さまざまなメリットがあります。

しかし、公的年金は支給開始年齢が引き上げられたり、支給額が減額されたりと、不安な要件も多々ありますよね。

国民年金基金にもリスクはあるのでしょうか?

この記事では、万が一国民年金基金が解散したらどうなるのかや、加入しても安全かどうかを徹底解説します!

加入を検討している方は是非最後までご覧くださいね。

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国民年金基金が解散したらどうなる?

せっかく国民年金基金に加入しても、万が一解散してしまったら一大事ですよね。

それまで払った掛金や将来の年金はどうなってしまうのでしょうか。

「国民年金基金加入にあたっての重要なお知らせ」には、万が一基金が解散した場合について、下記の通り記載されています。

“基金は公的な制度として、国民年金法に基づきその設立から運営について厚生労働省から指導、監督を受け、代議員会での議決を経て運営されております。また、基金の財政状況を毎年チェックし、健全な運営に努めております。基金の財政状況は決算書に記載されていますので、随時閲覧できます。仮に当基金が解散した場合は国民年金法に基づき、基金の解散時点での残余財産額を加入員および受給者等で分配することとなっており、それまで支払われた掛金額を下回ることがあります。なお、分配される額を国民年金基金連合会へ移管して、将来年金として受け取ることができるような措置を講じております。”

(「国民年金基金加入にあたっての重要なお知らせ」(より引用)

このように、万が一国民年金基金が解散した場合は、その時点で基金に残っている財産を、納付者と受給者の全員で分け合うと定められています。

今まで掛けていたお金が全く戻って来なくなる……ということはないので安心してください。

ただし、分配されるのは解散時点で基金に残っている財産です。

そのため、本来であれば生涯に渡って受給できるはずだった年金額よりも少ない金額しか受け取れない可能性が高くなってしまうのです。

それだけでなく、受給額がそれまでの掛金額を下回り、元本割れになってしまう可能性さえあります。

老後のために長年掛金を払ってきた人が、基金が解散したせいで損をするとしたら、大変ですよね。

また、基金が解散したらすぐに一時金として支払われるわけではありません。

国民年金基金の財産は国民年金基金連合会へ移され、加入員および受給者が将来年金として受給できるように措置が講じられることになっています。

国民年金基金が解散するリスクは?

では、実際に国民年金基金が解散するリスクはどのくらいあるのでしょうか。

確かに、国民年金基金が絶対に解散しないと言い切ることはできません。

現在、国民年金基金は責任準備金に対する積立金残高が不足しており、この乖離は長年続いています。

今後国民年金基金の受給者と支給額は増加していきますので、不足金があまりにも大きくなりすぎると制度が破綻し、解散してしまう可能性もゼロではありません。
ただし、それはあくまでも「ゼロではない」という可能性の話ですので、実際には基金がすぐに解散してしまう可能性は非常に低いといえます。

国民年金基金の財政状況は、決算書に記されているため、いつでも閲覧することができます。

2020年度の資産運用状況によると、基金の積立金残高は20年10月期から21年3月期まで順調に増加しています。

また、責任準備金と積立金残高の乖離は、令和元年度末では△6,019億円だったものが、令和2年度末には△3,215億円にまで縮まり、好転しています。

仮に、財政状況が今後極端に悪化したとしても、基金を解散するよりも先に、受給開始年齢の引き上げや、支給金額の引き下げ、または掛金の増額が行われると予想されます。

また、国民年金基金を管理しているのは国なので、一般の保険会社や銀行が破綻する可能性に比べると、国民年金基金が解散するリスクは非常に低いと言えるでしょう。

国民年金基金は、解散のリスクよりも加入のメリットの方が大きい!

国民年金基金には、加入することによるさまざまなメリットがあります。
特に大きなメリットとして、下記の3点が挙げられます。

①掛金が全額所得控除の対象

国民年金基金は、掛金が全額所得控除の対象です。

掛金は、国民年金基金とiDeCoを合算して月額6.8万円です。

仮に月額20,000円程度国民年金基金に拠出した場合、課税所得300万円の人なら年間52,093円、課税所得500万円の人なら年間78,410円税金が軽減されます。

節税しながら年金の積み増しができるという点は大きなメリットです。

②確定給付年金なので、自分で運用する手間が無い

国民年金基金は確定給付年金です。

将来の受給額は加入時に確定します。
また、運用も基金が行ってくれるので、自分で資産を運用する手間やストレスがありません。

③年金は一生涯受け取れる

国民年金基金は、一口目は必ず終身年金から選択します。そのため、基本的に年金は一生涯受給することができます。

長生きをするほど受給額が掛金を上回り、得をすることができます。

現時点では、非常に可能性が低い解散リスクよりも、国民年金基金に加入するメリットの方が上回ると言えるでしょう。

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国民年金基金の解散【まとめ】

国民年金基金が万が一は解散した場合には、解散時点での基金の資産残高を全ての加入員・受給者で分け合うことになります。

そのため、本来受給できるはずだった金額よりも少ない受給額になったり、受給額が掛金を下回ったりする可能性があります。

ただし、解散によって受給額がゼロになることはありません。

基金の財政状況は懸念要件もありますが、令和2年度時点では資産残高は増加し、責任準備金と積立金残高の乖離も好転しています。

また、国民年金基金は国が管理している年金制度ですので、基金が解散するリスクは非常に低いと言えます。

国民年金基金には掛金の全額所得控除等、加入することによるメリットもたくさんあります。

解散リスクを恐れるよりも、自分自身に合った制度やプランをしっかり選択することが、老後資金の準備には一番大切ですよ。