iDeCoは退職金の受け取りとずらすべき?損をしない方法を解説!
掛金が全額所得控除になるなど税制上のメリットが注目されますが、実は「受取時」の工夫が重要だってご存知でしたか?
場合によっては、せっかくiDeCoを活用したのに、受取時に税金がたくさんかかってしまうというケースも……。
そこで、iDeCoで損をしないための方法を徹底検証!
実はiDeCoと退職金の受け取りはずらす必要があった?!
受取時の重要ポイントと、その理由を解説していきますので、是非最後までご覧くださいね。
Contents
そもそも、iDeCoって?
iDeCoが良いとは聞くけど、そもそもどういったものなのか良くわかっていない……という方も多いのではないでしょうか。
iDeCoとは、いわゆる「私的年金」の制度です。厚生年金・国民年金などの公的な年金に上乗せする形で、自分自身で運用方法を選んで掛金を拠出していきます。
運用方法は、定期預金などのリスクの低い方法から、投資信託といった将来増える可能性が大きい方法までさまざま。60歳までは引き出しができないなどの注意点がありますが、
②運用益は全額非課税
③受取方法によって非課税・控除対象になる
といった税制メリットがあります。
公的年金だけでは老後が不安……という方にぴったりなんです!
iDeCoの受取方法は3パターン?!
さて、実はiDeCoは、受取時の方法が3種類あります。
②一時金型
③年金型と一時金型の組み合わせ
それぞれどのように違うのでしょうか。
まず、①の年金型。こちらは受給権が発生した年齢(※原則60歳)から70歳に達するまでの間、5年以上20年以下の期間で、毎年年金のような形で分割して受け取ります。
続いて②の一時金型。こちらは受給権が発生した年齢(原則60歳)から70歳に達するまでの間に、一時金として一括で受け取ります。
③の年金型と一時金型の組み合わせは、その名の通り、受給権が発生してから70歳に達するまでの間に、年金型と一時金型を組み合わせて受け取ります。
受け取り方で税金が変わる?!
受け取り方が3種類もあるけど、結局どの方法がお得なの?と思いますよね。
ポイントは受取時の税金です。実は受け取り方によってかかる税金が変わってくるのです。
①の年金型で受け取る場合、公的年金等と同じ「雑所得」扱いになります。公的年金など他の収入が多い場合、iDeCoも合算してより多く税金がかかってしまいます。
②の一時金型は「退職所得」扱い。退職金と同じく、退職所得控除が適用されます。
つまり、雑所得と退職所得を比べた場合、退職所得扱いの方が税金が抑えられるのです!
ということは、一時金型で受け取れば絶対大丈夫……と思ったら、実は思わぬ落とし穴がありました!
iDeCoの受け取りと退職金が重なったら、税金が増える?!
実は上記で説明した退職所得控除は、一人当たりの枠が決まっています。
・勤続年数が20年以下の場合
40万円×勤続年数 ・勤続年数が20年を超える場合
(勤続年数-20年)×70万円+800万
つまり、会社からの退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取ってしまった場合、退職所得控除額を超えてしまい、大幅に税金が増えてしまう可能性があるのです。
そんな時におすすめの方法が……ズバリ、「iDeCoと退職金の受け取りをずらす」こと!
iDeCoと退職金の受け取りをずらすとどうなるの?
ここで重要になってくるのが、「退職金の5年ルール」です。
既に退職金を受け取って退職所得控除を受けている方でも、5年以上期間が空いている場合は、再度退職所得控除を受けることができるのです。
つまり、iDeCoを一時金受け取りする場合は、先にiDeCoを受け取ってから、5年以上あけて退職金を受け取った方がお得ということ!
逆に、退職金を先に受け取った場合はどうなるのでしょうか?
実は、退職金を先に受け取ってしまった場合、「5年ルール」は使えないのです。
iDeCoなどの確定拠出年金の場合に限り、前年以前14年内(15年前)に退職金を受け取っていた場合、退職所得控除の重複分は差し引かれると定められています。
つまり、退職金を先に受け取った場合は、15年以上あけてからiDeCoを受け取らないと損してしまうということ。
iDeCoは70歳までの間に受け取らなければならないので、遅くとも55歳時点で退職金を受け取らなければなりません。これはあまり現実的ではありませんよね。
※ 2022年4月から、iDeCoの受給年齢の上限が75歳に引き上げられます。
この場合、退職金を60歳に受け取って、iDeCoを75歳で受け取りすればOK。
ただし、老後は急に資金が必要になってしまうこともあります。予定より早くiDeCoの受け取りをしたい……!と
いう時に困ることもありますので、やはりiDeCoを先に受け取っておく方が安心なのではないでしょうか。
iDeCoは退職金の受け取りとずらすべき?【まとめ】
iDeCoの受取方法は3種類ありますが、税制上有利なのは一時金型の受取り!
ただし、一時金受け取りをする場合、ご自身の退職金と同じ年に受け取りしてしまうと、大幅に税金が増えてしまう可能性があります。
そんな時はiDeCoと退職金の受け取りをずらすことが重要!iDeCoを先に受け取って、5年以上期間をあけて退職金を受け取れば、「退職金5年ルール」が適用されて、再度退職所得控除を受けることができます。
せっかく活用したiDeCo。受取時に損をしないよう、ご自身のライフプランとあわせて賢く受け取りをしましょう!